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贄には王こそ相応しい(オリジナル)


ある時、ある日、ある国で
突然農地が枯れ、森もやせ細り、動物が消えた。
枯れた土地に死神が現れた。
我は飢えている。生贄を差し出せ。
なれば豊かな恵みを戻そう。
高き所の祭壇に生贄を連れてこいという。

我が示した生贄を差し出せ。

生贄を示す黄金の矢は王の玉座に付き刺さっていた。
死神が求める贄は王である。
王は行くと言ったが、臣下は許さなかった。

そこで生娘を差し出した。翌日生娘は自分の家に戻っていた。
国中の娘で試したが同様であった。
そこで若い男を差し出した。結果は同じ。
そこで赤子を差し出した。赤子は翌日母の胸で眠っていた。
どの年代の、どんな身分の者で試しても無駄だった。
たまりかねて王妃がその身を捧げようとした。
しかし瞬きの内に王妃は城に戻されてしまった。
国中に声が響く。

いらぬ、いらぬ、我が求むるは王のみよ。

その間も矢は玉座に刺さり続ける。
滅びが静かに迫っていた。
矢が100本となった時、王は王子を後継に指名し、
死神にその身を差し出した。
国中に響く鐘の音。国民は皆むせび泣く。

王が祭壇に立つと空に4つの黄金の瞳が輝き、
地中から6つの金色の翼が出現し、
王を包み、死神諸共深遠へ消えていった。

その瞬間、畑に豊かな恵みが戻った。枯れたことなど無いように。
森には黒々と美しい緑が戻った。枯れたことなど知らぬように。
皆喜び、歌い、踊った。滅びかけたことなど無かったように。

時が過ぎ、ひそかに語られている話がある。
私は見た、あの時を。私は見た、あの輝ける犠牲の中、
我らが王は微笑んでいたのだ。
黄金の翼で死神に包まれる瞬間、王は笑っていたのだ。


紙で描いたのをスキャンして、残りはデジタル。
久々に紙に画鋲刺して集中線引いたり、
ひたすら羽根をペン入れしたり、
モチモチと羽根に色塗ってるのが妙に楽しかったです。
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